院長の余白

院長の余白(2026年3月10日・雨のち晴れ)

新規開院しまして、地域に少しでも早く溶け込むべく、事業所へご挨拶に回る日々が続いています。
訪ね歩いていると、ときどきこう尋ねられます。
「お一人で回っているんですか?」
──ええ、率先垂範というやつです。

どうしても忘れられない言葉があります。
以前、ある事務長さんがふと漏らしたひと言です。
「医師じゃないから、『何ができるのですか?』に答えられないのですよ」
その言葉は、胸の奥に強く残りました。

かつて医療法人で働いていた頃には、こんなことも言われました。
「この前に来た(営業の)人は“なんでもできます”って言ってたのに!」
──そう言われましても、医療には“できること”と“できないこと”があり、
時には医学的にも、医療法的にも、どうしても越えられない線があるのです──。

この「できる/できない」の事実と、
「してほしい/してくれるはず」という思惑の不一致は、
双方に不利益を生じる、残念な出来事になりかねません。

それゆえ当院では、院長である私自身が地域を回り、
その場でいただいたご質問に、できる限り正確にお答えするようにしています。

そして自ら足を運ぶことで、それぞれの事業所の立地や空気の流れなど、
地図やリストの”文字”では得られないものを感じ取ることができます。
この感覚は、きっと後々の診療や連携の場面で役に立つだろうと思って(信じて)、
今日もまた白いクルマを走らせています。