院長の余白 「すべからく臨機応変」
最近は落ち着いたが
開院してまもなくは、営業電話が押し寄せてきた。
中でも多かったのがGoogleMap関連で、みなさん判で押したように同じことを言う。
「患者さんに口コミを書いてもらって、HPを検索してもらって、来院数アップをーーー」
当院はこちらが伺う訪問診療なので、患者さんが受診しに来ることはナイのです。
営業前に相手を下調べしたり、ニーズを調べたりしないのであろうか。
そう思ったとき、ふと自分に矢印が向く。
──さて、そう言う自分は、相手のニーズを汲めているのだろうか。
医療でも営業でも、相手のニーズを汲むことは大事だ。
しかし、医療の世界では100%ニーズを汲むのはむしろ誤りである。
施設の要求を全部飲む医師は評判が良い。
そんな風潮に対して、かつて反駁した先生がいらした。
「そんなの迎合だ」
その先生は、追い出されるように辞めていった。
私も、静かにそのあとを追った。
迎合しない医者は、短期的には必ず損をする。
施設にも、看護師にも、組織にも、“扱いづらい医者”として見られるからだ。
訪問診療では細かく見ればあちこちに、言葉にならない“生活のニーズ”がある。
医療のニーズは表面に出るが、
生活のニーズはその裏に沈む。
そこをどう拾い、どう拾わずに置いていくか──
それが担当医師の腕の見せ所、とも言える。
最終的に決めるのは患者さん本人。
私は、迷いながらも──
その時いちばん良いと思える選択肢は示せてる、かな。