EpisodeⅡ

子どもの頃、家の近くの橋の上から、線路を走る電車を眺めていた。
その時間は長く続いても、飽きることがなかった。

やがて、自分で時刻表をめくり、行き先を決め、切符を買い、『ひとり列車旅』を始めた。
小学校四年生で、伊豆の伊東へ電車で往復してきた。
五年生では新幹線で名古屋へ、そこから福井、金沢、軽井沢、上野へと一日で乗り継いだ。
六年生では夜行列車(車中泊)に味を占めた。

中学生になると、列車旅はさらに広がった。
当時には多く走っていた夜行列車と、国鉄の「乗り放題きっぷ」を使い、
観光はほとんどせず、朝から晩まで、あるいは夜通し列車に乗り続けていた。
一年生で東北をぐるぐると徘徊し、
三年生では青函連絡船で北海道に渡り、北海道内を夜行列車で行ったり来たりした。

ひとりで出かける本人もなかなかだが、送り出す親もまた大胆だったと思われる。
今では、あの頃のような旅はなかなか難しい。

2026年09月05日